お月見は日本の代表的な行事のひとつであり、秋の夜にお月さまを愛でる日「十五夜」や「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」という言葉は聞いた事があるのではないでしょうか。
お月見にはさまざまな意味や願いが込められています。
この記事では、お月見はどんな事をする日なのか、由来や意味、お供物をする理由などを解説します!
今までよりもっとお月見について、意味など深く知れば楽しい行事になる事でしょう。子どもたちにも紹介して、家族で楽しい時間を過ごしてみてください!
1.お月見とは何?
1-1.お月見の意味
お月見とは、月見団子などをお供えして、一年のなかで一番美しい満月が見える日(中秋の名月または十五夜)にお月さまを眺めることと、秋の農作物が無事に収穫できたことを感謝する風習のことをいいます。そして、生命の満ち欠けの連想から、生命を繋いでくださった祖霊を偲ぶ日にもなったのです。
1-2.お月見はいつ?中秋の名月と十五夜の違いは?
中秋の名月とは・・・
お月見をする日は、月の満ち欠けを基準にしていた旧暦の8月15日です。
旧暦では7・8・9月を秋としており、その真ん中である「8月15日」を中秋、この頃の月が一番綺麗に見えるということから「中秋の名月」と言われるようになりました。
月の満ち欠けを基準にしていた旧暦と、太陽の動きを基準にしている新暦ではズレが生じるため、毎年、日にちが変わります。
2023年(令和5年)は、9月29日です。
そして、実は中秋の名月が満月とは限りません。月の満ち欠けの周期は一定ではないからです。
十五夜とは・・・
一方、十五夜には満月という意味があります。
月はおおよそ15日かけて満月となり、再び15日かけて新月に戻ります。(実際には必ず15日が満月というわけではなく、14~16日の間となります)
昔はこの月の満ち欠けに名前をつけ、日付の代わりにしていました。
例えば、新月から3日目の月を三日月、7日目の月を上弦の月といいます。
15日目の月を十五夜というため、十五夜は1月から12月の全ての月に存在します。
それがやがて、一年の中で特に月が綺麗に見える中秋の名月を十五夜と呼ぶようになったと言われています。
ちなみに、2023年(令和5年)の満月の日も9月29日になります。
その他にも日本では元々、十三夜や十日夜がある
十五夜のお月見は全国的に知られた風習ですが、地域によっては十三夜(じゅうさんや)や十日夜(とおかんや)にもお月見をするところもあります。
十三夜は、十五夜の次に美しい月が見ることができるといわれています。
どちらか片方の月見しかしないことを「片月見」または「片見月」いい、縁起が悪いとされています。
こちらも収穫祝いを兼ねており、栗や豆類の時期であることから「栗名月」「豆名月」と呼ばれています。
十日夜は、東日本を中心とした収穫祭です。お月見がメインではなく、稲の収穫を祝う祭りで、地方によって内容が異なります。
十三夜は旧暦9月13日(2023年は10月27日)、十日夜は旧暦10月10日(2023年は11月22日)にあたります。
1-3.お月見の由来
お月見の風習は、中国の唐の時代の「中秋節」に由来しています。
「中秋節」には月餅と呼ばれる伝統的な菓子やスイカなど丸い食べ物を月に供え、五穀豊穣を祈念したそうです。
この風習が日本には平安時代に伝わったとされています。
元々日本では、月は神聖なものと考えられており、月を愛でる風習は古くからあったそうです。当時の貴族たちは月を眺めながら、お酒を飲んだり、音楽を優雅に奏でながら、「観月の宴」を開いて楽しんでいたようです。
庶民の間に広まったのは、江戸時代の初期です。秋の収穫への感謝と翌年の豊穣を願う豊作祈願のお祭りとして行われるようになりました。
2.お供物をする理由は?
お供物をする理由は、先述したように秋の収穫への感謝と翌年の豊穣を願う豊作祈願のお祭りと生命を繋いでくださった祖霊を偲ぶ日に食べ物を月に供えるためでした。
お供物にも一つずつ意味があるのでご紹介します!
2-1.月見団子
お団子は、元々は収穫を祈る意味で、お米の団子を供えたのが始まりとされています。
真っ白で丸い形は「満月」を見立てており、月への感謝と健康や幸福を祈って供えられるようになりました。
十五夜では15個積み上げてお供えします。
2-2.ススキ
ススキは、実りの秋を象徴する稲穂の代わりとされています。
また、昔から神様が宿る植物といわれており、魔除けになるとされていました。神聖なススキをお供えすることで魔を遠ざけ、翌年の豊作と健康や幸福を祈る意味がこめられています。お供えしたススキを家の軒に吊るしておくと一年間病気をしないといわれています。
2-3.野菜、果物
お団子やススキの他に、里芋やサツマイモ、きぬかつぎ、栗など旬の野菜や果物をお供えすることもあります。収穫に感謝をします。
ぶどうなどツルがある農作物は、月と人のつながりが強くなるという意味があり、縁起がいいとされています。
十五夜は「芋名月」とも呼ばれています。
3.なぜお月さまにはうさぎが出てくるの?
『月でうさぎがお餅をついている』とよくいいますよね。
どうしてうさぎが出てくるのかご存知ですか?
月にうさぎがいる話の由来は諸説ありますが、最も有名なのがインドの『ジャータカ神話』です。
ある日、うさぎ・猿・きつねの前にお腹を空かせたお釈迦様が老人の姿になって現れ、 老人のために動物たちは食べ物を探しました。 猿は木に登って木の実をとって捧げ、きつねは川で魚を獲って差し出しましたが、 うさぎは自分には何もあげるものがないと、自ら火に飛び込んで「私を食べて下さい」と言いました。 お釈迦様は、「こんなに優しいうさぎが死んではならない。月で幸せに暮らしなさい」と、 うさぎを月へ送りました。
月でお餅をついているのは、お釈迦様のため、自分の食糧を確保し食べ物に困らないようにと言われています。
また、古代中国の神話では、「月ではウサギが杵を持って不老不死の薬をついている」というものがあります。この話が日本に伝わった際に、薬が餅に変わったのではないか、という説もあります。
4.まとめ
お月見の由来や意味を知ってどんな事をするのか、お供物は何が良いのかということが分かったと思います。
古くは中国の風習として日本に伝わり、日本ではススキやお団子をお供えして秋の収穫物に感謝したり健康を祈ったりしたのですね。
今や日本の伝統文化として大切に受け継がれています。
お月見には諸説ありますが、共通していることは「お月さまに感謝の意を表する行事」であることです。
中秋の名月に、家族や仲間と一緒にお月さまを見上げ感謝しながら、月見団子や旬の食材を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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